梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その33|<竹中大工道具館>(2) 法隆寺五重塔1/20模型

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

<竹中大工道具館>(2) 法隆寺五重塔1/20模型

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竹中大工道具館の売り物の一つは、法隆寺や法輪寺、薬師寺などを再建した宮大工の西岡常一棟梁やその直弟子である小川三夫棟梁らの作品が展示されていることです。彼らが寺社の修復や再建にあたって木造りした斗(ます)や蟇股、虹梁などの仕口や継ぎ手、原寸大の図面、さらには小屋組などが見られます。

この法隆寺の五重塔もその一つ。これは、小川棟梁がまだ西岡棟梁の下で修業中に、仲間とともに作った法隆寺の五重塔の1/20の実物模型。

昭和の大修理に携わった時に西岡棟梁が作った実測図を基に、部品の一つ一つ寸法を取って寸分たがわずに木造りし、仕事の合間を見つけて3年ほどを費やして作り上げたものです。

細かい作業が求められ、小川棟梁自身、「気違いの仕事」で2度とあんな仕事はできないと述べているほどの根気仕事ですが、これを作ることで、また先人の工夫の意味を知ることができます。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中!