三菱電機株式会社 / Siam Compressor Industry Co., Ltd. (SCI)

ファクトリーマネジメント賞

主要事業 :
空調機・冷熱機器用圧縮機の開発・製造・販売
設  立 :
1988年12月
従業員数 :
約2,900人
所 在 地 :
Laem Chabang Industrial Estate 87/10 Moo 2 Sukhumvit Rd., Tungsukhla Sriracha, Chonburi 20230 Thailand
代 表 者 :
Managing Director 山本 隆史

総合所見

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SCIは、三菱電機(株)静岡製作所をマザー工場とする冷熱・空調用コンプレサーを生産する工場で、1988年にSiamセメント社との合弁企業として設立され、1990年から操業を開始している。以来、ASEAN市場の空調需要の伸長により、生産量が急激に伸しており、それに合わせて、3,4年サイクルで工場を新設、2012年には新しいコンセプトに基づく工場(第4工場)を新設し、315万台の生産を実現した。しかし、この結果さらに需要が大きく伸び、2015年には400万台の生産をめざした新工場の建設が進められている。

SCI社の特徴のひとつは、従業員約3000名に対して日本人出向者がわずか5人と少ないことにある。これは、創業当初から、日本人の初代社長の「現地化する」との強い意識で少ない日本人で運営されてきたためで、工場は日常的にはほぼタイ人スタッフで運営されるという現地化されたマネジメントシステムが構築されている。そうしたツールとして大きな役割を果たしているのが、Quality & Harmonyというスローガンから始まる中期計画 MTP(Medium Term Plan)をベースにしたマネジメントシステムで、このマネジメントシステムにより、マネージャーたち自身による計画づくりと業務展開のPDCAが回される仕組みがつくられており、SCI社の現地化された業務推進の基本となっている。

さらに、SCI社のもうひとつの特徴が、初期からR&Dセンターを設置し、開発から生産までを担う工場として、現地人スタッフによる開発がすすめられており、当初は客先別の若干の仕様変更程度だった設計業務が、静岡工場とのテレビ会議などの仕組みの使用で、新機種等の開発までをも担当するほどに力をつけており、その意味では自立化をめざして高い技術力を身に着け始めている。そうした高い技術力によって、新工場の設立に際しても、現地人スタッフによる新しい工場の建設等を可能にしており、ライン編成や設計に際しても3D-CADや動画によるシミュレーションなどを駆使するなど、高いレベルでの検討が行われている。

以上のことから、この工場は、海外工場の現地化を進めるための総合的なマネジメントシステムを構築し、実践している工場としてファクトリーマネジメント賞にふさわしい工場と考えられる。

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