梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その27|桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(12)<ノコギリ屋根>

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(12)<ノコギリ屋根>

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ノコギリ屋根とは、屋根の一形式で、三角の屋根が片流れでノコギリの歯の形に似て、垂直の部分が、光を取り入れる天窓になっているものをいい、主として紡績・撚糸・綿布・織物・染色などの工場建築に用いられました。

ルーツは、1827年に作られたイギリス最古の紡績工場、MOSCOW MILLといわれます。同工場はいま、当時の姿で資料館・生活雑貨のショッピングセンターに改装されていて、ノコギリ屋根の天窓から差し込む自然光で、爽やかな空間が演出されているそうです。

 日本では、1883(明治16)年の大阪紡績工場が最初とされ、その後、各地の繊維関係工場で利用されてきました。桐生にはいまも200棟を超える工場が残されており、愛知県知多半島の東浦周辺、山梨県富士吉田市、新潟県五泉市などにも見られます。

 ノコギリ屋根が採用された理由は、明り取りです。イギリスの最古の紡績工場が操業したのは、エジソンが1879年に白熱電球の実験に成功する50年も前で、仕事をするための採光用天窓として考えられました。

桐生のノコギリ屋根は北向きが多いのですが、染色などの微妙な色を判別するためには、終日均一な北からの光が有効なのだとか。とはいえ、全部が窓が北向きという和神奈川県立高校ではなく、単に形として採用しているケースもあるそうです。

 ひと口にノコギリ屋根と言っても、壁:木造、石造、煉瓦、鉄骨、素材:瓦、スレート、鉄葺き、さらには屋根の傾き、方向とさまざま。地域による変化もあり、旅する先でそうしたものを確認してみるのも旅の楽しみかも。写真は桐生市内で見つけたノコギリ屋根のいくつか。

 ちなみに、このノコギリ屋根、英語では、saw-tooth roof とまんまですが、これは建築学会が建築語彙編纂委員会で検討を重ね、「建築雑誌」1911年8月号で発表したもの。ノコギリ屋根の工場はnorth-light shedという呼び方もあり、形で呼ぶか、用途で呼ぶか、それによって変えるということですね。

日本では、地図では工場を表すアイコンにノコギリ屋根の工場が採用されていますので、シルエットはなじみがあるのではないかと思います。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中!

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