梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その65|繁忙期には常連のボランティアが支援

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

繁忙期には常連のボランティアが支援

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カイコの飼育は、とくに孵化した直後は細心の注意が必要で難しい。長田さんでは、3回脱皮した後の4齢のカイコを稚蚕小屋から飼育台小屋へと移動し、広いスペースで育てる。

その後も脱皮を繰り返し、成熟したところで、母屋の2階にある作業場に移し、「回転まぶしと呼ばれるマス目の繭づくり用の場所に移す。2階への階段は手すりもなく、外にむき出しになっています。大きな蚕座を手で運び上げる時にぶつかるので、手すりをつけなかったんです」(長田さん)。

この時期は忙しく、通常は長田さん、お母さんの百々代さん、奥さんの晶さんの3人で行う作業も「養蚕期の一番忙しい時期には、常連で来てくれるボランティアさんに支えられています」と長田さん。長田さんを支援するファンがたくさんいるのだ。

長田さんが作った繭は、碓氷製糸場に送られて生糸にされるほかに、地元の道の駅「八王子滝山」でも繭の加工品として販売されている。

純白の繭に彩色してかわいらしい人形に仕上げているのだが、これがかわいらしいと評判の人気商品になっている(写真)。これは、奥さんの晶さんの作品。晶さんは繭を使った手作りの講習会なども依頼され、地域で人気のプログラムにもなっている。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中!