梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その11|レンガの積み方

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

レンガの積み方

●レンガの摘み方

富岡製糸場の塀に使われている煉瓦の平均サイズは、220×106×58mmほど。

日本標準規格が制定される前に製造されたもので、現代の煉瓦よりもサイズが少し大きめです。

建築物をつくる際のレンガの積み方にはいくつかの方法があります。
(1)フランス積み
一段にレンガの長手と小口を交互に積む方式で、中心を合わせて一段ごとに交互に積みます。

正式にはフランドル積みと呼ぶようで、富岡製糸場の積み方はフランス人バスチャンの設計になるため、この積み方が採用されています。

長手と小口で焼き色を変化させ、独特な模様を活かしているものもあります。

(2)イギリス積み
レンガを並べる際に長手だけの段、小口だけの段と一段おきに積む方式。

フランス式に比べると強度が強いと言われていることから、土木の構造物や鉄道の橋梁などに利用されることが多い。

(3)長手積み
煉瓦の長手のみを一段ごとにずらして積む方式。

これだと奥に2枚を並べない限り奥行き(壁厚)が半分になるので、強度的には弱いと言われます。

(4)小口積み
長手積みと逆にレンガの小口だけを表に出して一段ごとに交互に積んだもので、通称ドイツ積みとも呼ばれます。

小口積みは一辺が短いので局面などをつくるにも向いていて、井戸や煙突などの円筒形の構造物などによく使われています。東京駅のレンガがこの積み方です。
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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
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