梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その22|桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(7)<そのまま工場で使用(資)後藤織物>

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(7)<そのまま工場で使用(資)後藤織物>

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同社は、創業は1870 (明治3) 年の紋織物の老舗で、いち早く洋式染色技術の導入を図った工場として知られ、いまでも「七五三帯」を中心に丸帯や袋帯を生産している現役工場です。

戦後、切妻造の工場に、写真の木造4連のノコギリ屋根工場が増築されました。工場内部は天井が高く、北向き屋根にある天窓から柔らかい光が差し込み、染色にはうってつけ。撚糸・製織も手掛けて、桐生における機業の戦後復興を物語る貴重な施設の一つです。

工場のほかに、大正14年に住居から事務所兼作業場へ転換するために増築された主屋もあり、奥座敷は接客用に使われていました。木造二階建の東蔵と西倉、木造平屋建の旧釜場などもそのまま残されています。

平屋建ての倉庫は絹糸の保管庫、物置の南半分は食料庫、北半分は薪炭置き場として利用されたものです。表門とその両側の板塀が独特の景観を生んでいて、建造物は、桐生織物の歩みを示す、歴史的にも貴重な建造物群である。

木造4連のノコギリ屋根がついている工場。道路から少し入ったところにあり、雰囲気のある表門が特徴です。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
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