梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その30|プロの大工に育つということ

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

プロの大工に育つということ

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宮大工の西岡棟梁の一番弟子で西岡師の跡をついだ小川三夫棟梁が、最初に西岡棟梁に弟子入りを申し込んだとき、18歳では歳が長けすぎていると断れらたそうです。それでも、数年間外で修業した後、弟子入りを許されたそうですが、こんなことをおっしゃっています。

「長い間、苦も無く鋸を引き続けられる大工の身体になるためには、頭と体ができてしまってからでは遅い。せいぜい14,5歳。技を習得しつつ、体もその職業の体になっていく。体が出来てしまってからだと、弟子に入ってから苦労することが多い。職業ごとに暮らし方、考え方がある。野球が上手な体と、大工の体は違う」と。

かつて木挽き職人という人たちがいました。
葛飾北斎『富嶽三十六景』の「遠江山中」の絵や、明治初めの木挽き職人の写真など、巨大な木材から薄い板を切りだす木挽き職人の作業風景があります。
鋸を一定のリズムで均一に引き続けた職人の胆力の凄さに驚きましたが、心と体で身に着けた技がしっかりあって、木挽きという職が成り立っているのですね。

それが職人、言い換えればプロということ。そういう意味での「職人」が身近にいなくなって、その存在を、忘れているかもしれません。
写真は再建された薬師寺の西塔。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中!