梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その53|近代化を支えた日本版「シルクロード」

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

近代化を支えた日本版「シルクロード」

シルクロードの3つのルート

ホーフェンが、著作『China』の中で、「ザイデンシュトラーセン(Seidenstraßen:(独)絹の道)」と呼び、その後、「さまよえる湖」を探して探検したスウェーデンの考古学者ヘディンが、著作に「シルクロードSilk Rord」のタイトルを用いたことから、一躍知られるようになった。

代表的なートとして、以下のような3つがあげられている(図1)。

①天山北路:敦煌・安西北方のハミを起点とし、ウルムチを通り、天山山脈の北麓沿いにサマルカンド、西トルキスタンに至るルート。

②天山南路北道(西域北道):敦煌の西方、玉門関を発って、トルファンから天山山脈の南麓に沿って西に向かい、カシュガルからパミール高原に至るルート。

③天山南路南道(西域南道):玉門関から楼蘭を経由し、タクラマカン砂漠南縁を辿ってホータン、ヤルカンドを経てパミール高原に達する南方のルート。

このうち、③のコースは砂漠と高い山脈の間を行く過酷なコースだが、インド、イランにも行かれ、最短であるために、西域路として最も多く利用されたという。

いずれも砂漠越えなど、長くて困難の多いルートだが、それ故にこそ豊富な経験を持った人たちにしか越えられない交易コースとして歴史の中で生き続けてきた。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
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