トヨタ紡織株式会社 インタビューその3|これからの改善活動の目標は?

GOOD FACTORY賞受賞企業のトヨタ紡織株式会社 広州桜泰汽車飾件有限公司
総経理 吉川靖司さん
工場長 堀井敏さん
にお話を伺いました。日本能率協会の小宮太郎がインタビューします。
(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)

これからの改善活動の目標は?

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小宮
モチベーション向上のため、日本では小さな成功体験を共有することをよくやります。
そのサイクルを回すスピードに日本と中国で差はあるのでしょうか。

吉川
モチベーションを上げる活動として、中国域内では〝生産・品質会議〟というイベントを1回/2ヶ月実施しています。
各事業体の改善活動を報告し合い、各事業体が競いあう事でモチベーションも上がり、中国域のレベルアップをはかる事が出来ます。

小宮
日本でも同じようなことをしているのでしょうか。

吉川
日本でも基本的にやっています。

中国だと経済社会の裾野がまだしっかりしていなかった時代は、今以上に苦労したと思います。

中国人は安全より金儲けを優先する傾向もあります。
こちらがあれこれ指示しても、「そんなこといっても金がかかって儲からない」とかいわれることもあります。
そういう部分は日本と違います。

中国内では、いろいろな改善活動やサークル活動をし、結果を出しながらステップアップしているところです。

中国にも生産会議みたいなものがあり、それに合わせて生産改善を進めています。
今回のGOOD FACTORY賞も含め、そういう節目があると、やりやすいのは確かです。
ぬるま湯に浸かってずっとやるよりは、節目や機会をうまく使い、「そこまでにこれをやり上げよう」と頑張る方がいいでしょう。

そういう意味では、GOOD FACTORY賞も活用させていただき、ありがたかったと思っています。

小宮
GOOD FACTORY賞を受賞したあとの次のステップをどうお考えですか。

吉川
私たちはプロセス革新を仕入先とやってきましたが、そのあとは日本でやっているのと同じレベルの取り組みを考えています。
もうお客さんと話し合いを進めているところで、日本に近い、あるいは超えるぐらいのことをやりたいと思っています。

中国は以前、日本並みの品質の製品を安い賃金で格安に仕上げていました。
しかし、賃金が上がり、そういう有利な点は次第になくなってきています。

これからは、日本なり上海なりの統括会社が開発したものを、うまく作り上げることでは世界一の技術を持つ工場になることを目指さなければなりません。
これは、工場の従業員にこれまで以上に頑張ってもらわなければ、実現できないことですがね。
今、頭にあるのは、そういうふうに技術力を磨いていくことです。

しかし、飛び道具のように一瞬で達成することはできません。
だから、地道な改善活動を繰り返し、他社に負けない、国外の工場にも負けない力を蓄えないといけないのです。

中国でトップになっても、他国の工場に劣っていたのでは、今のグローバル経済の時代を乗り切れませんからね。
危機感を持って工場の体質改善を進めようと考えています。

ゆくゆくは開発、設計ができる能力も備えておきたいですね。
そうして開発をするお客さんに、こちらから提案もしていきたいと思っています。

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