優良工場表彰制度「2019年度(第9回)GOOD FACTORY賞」決定について

~中国、インドネシア、日本の3ヵ国から7工場を表彰~
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一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村正己)は、日本およびアジア地域に進出している製造業の生産性や品質の向上、改善活動に成果をあげた工場を表彰する「GOOD FACTORY賞」を2011年に創設し、優秀事例を紹介する活動を行っています。

このたび第9回の受賞企業として、オムロン、オリンパス、花王、コニカミノルタ、ダイキン工業、デンソー、東レの7社・7工場を決定いたしました。

「GOOD FACTORY賞」は、アジア地域で工場の生産性向上、品質向上など体質革新活動に取り組まれている事例に着目し、そのプロセスや成功要因、現場の知恵、働く方々の意識改革、社会的貢献などの内容を日本製造業の範として顕彰するものです。優良工場の事例を産業界に広く紹介することで、製造業の体質強化と発展に寄与することを目的としています。

GOOD FACTORY賞審査委員会(委員長:東京工業大学 工学院 経営工学系 教授 伊藤 謙治 氏)の書類審査・現地審査を経て、以下の企業に決定しました。

受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
オムロン
欧姆龙(上海)
(制御システムの研究開発、生産および技術コンサルティング、アフターサービスの提供)
ファクトリーマネジメント賞中国
(上海)
オリンパス
白河オリンパス
(医療用内視鏡製品の開発から製造 及び、東日本地区の内視鏡製品の修理サービスを担当)
ファクトリーマネジメント賞日本
(福島県)
花王
上海花王 上海工場
(主にサニタリー用品、衣料用洗剤、スキンケア用品、化粧品製造)
ファクトリーマネジメント賞中国
(上海)
コニカミノルタ
柯尼卡美能达商用科技(东莞)
(主に複合機、商用印刷機(周辺機器含む)、医療機器、キー部品の生産、金型設計・生産)
ファクトリーマネジメント賞中国
(広東省東莞市)
ダイキン工業 ※4社共同応募
堺・滋賀・淀川・鹿島製作所
(空調・冷凍機器、圧縮機、フッ素化学製品、油圧機器、ほか製造)
ものづくり人材育成貢献賞日本
(大阪府)
デンソー
PT. DENSO INDONESIA
(パワートレイン、エレクトリフィケーション、モビリティ・エレクトロニクス、センサ・セミコンダクタ、サーマル製品の製造)
ファクトリーマネジメント賞インドネシア
(西ジャワ州
 ブカシ県)
東レ
東麗酒伊織染(南通)
(合成繊維織編物の製布・染色加工・縫製及び販売)
ファクトリーマネジメント賞中国
(江蘇省南通市)

受賞にあたっては、中国・アジア地域に進出している日系現地企業・工場ならびに国内工場で行われている改革活動とその成果を、「しくみ」「運営」「効果性」「マネジメントの基盤」の4つの視点から審査し、各部門で表彰します。
なお次回は、2019年11月から第10回目の応募を開始し、2020年7月末に受賞発表を予定しています。

以上

【本件に関する問い合せ先】
一般社団法人日本能率協会 GOOD FACTORY賞事務局(担当:松本、安部)
〒105-8522 東京都港区芝公園3-1-22 
TEL:03-3434-1410/E-mail:seisan@jma.or.jp/Webサイト:http://goodfactory.jma.or.jp/
※取材に関する問い合せは広報室(斎藤 TEL:03-3434-8620)へお願いします。

「GOOD FACTORY賞」とは

1.賞の目的

日本能率協会は1942年の設立以来、日本のものづくり力を強化すべく、企業研修や資格試験、シンポジウムなどさまざまな取り組みを実施してまいりました。2011年に、グローバルなものづくりを支援する公益目的事業として優良工場表彰制度「GOOD FACTORY賞」を創設しました。

本賞は、日本およびアジア地域で、工場の生産性向上、品質向上をはじめさまざまな体質革新活動へ取り組まれている事例に着目し、そのプロセスや成功要因、現場の知恵、働く方々の意識改革、社会的貢献などの内容を幅広く取り上げ、その成果を日本製造業の範として顕彰するものです。

2.応募対象

アジア地域に進出している日系現地企業・工場ならびに日本国内工場(日系現地企業の場合、日本企業の出資比率は概ね40%以上を想定)を応募対象とします。

3.受賞要件および受賞基準

応募されたテーマの活動およびその成果によって、工場・事業所が総合的に改善・強化されたり、地域・従業員との強い結びつきができるなどして、中国・アジア地域ならびに日本のものづくりの優秀なモデルとして他社の範となる工場・事業所を以下の4部門で表彰します。

■ものづくりプロセス革新賞

IE(Industrial Engineering)改善、ITの適用、品質保証、工程改善、SCM(Supply Chain Management)改善、JIT(Just In Time)、調達革新、物流革新、自動化など、工場・事業所の“ものづくりプロセス”が、総合的に改善・強化されている事例

■ものづくり人材育成貢献賞

全員参加の改善活動、技能伝承、能力開発への取り組み、従業員育成など、質の高いものづくりを実現するための“人材育成”に組織的に取り組まれている事例

■ものづくり CSR 貢献賞

環境対応、省エネ、福利厚生、地域社会との結びつきなど、ものづくりを側面から支える“CSR”(Corporate Social Responsibility)に積極的に取り組まれている事例

■ファクトリーマネジメント賞

上記3賞が表彰する個別内容ではなく、総合的に“工場運営”のレベルが高く、全体にバランスのとれた“工場運営”の良さ、といった事例

4.審査

審査委員会は、東京工業大学 工学院 経営工学系 教授 伊藤 謙治 氏を委員長に、学識経験者、経営コンサルタントによって構成されます。受賞企業は書類審査・現地審査を通して決定し、応募企業には、審査所見をフィードバックします。

一次審査(書類審査): 応募企業(事業所)から提出された受審資料に基づく審査
二次審査(現地審査): 応募企業(事業所)の幹部・関係者との面接および事実確認
最終審査 : 二次審査の結果を踏まえて、審査委員会で最終判定

5.審査の視点

審査は改善・改革活動の「しくみ」「運営」「効果性」「マネジメントの基盤」の4つの視点から行われます。対象となる活動がこの4つの視点全てを満たしているか、または特定の項目に優れているかを審査します。

一般社団法人日本能率協会「2019年度(第9回)GOOD FACTORY賞」受賞企業

欧姆龙(上海)
(オムロン 上海)

ファクトリーマネジメント賞

テーマ:モノづくり革新で世界に価値提供できる“モノづくり拠点”の実現

◆受賞理由

オムロン上海の設立は、2005年となっているが、1994年生産開始のコントローラー生産会社、1995年生産開始のセンサー生産会社と2004年生産開始の電源生産会社とを2005年に統合設立したものである。設計(制御機器)から生産、アフターサービスまでの一連の機能を保有しているところに特徴がある。
現在の取り組みとして、ハイテク企業として中国国内で認定されている他、制御システムの研究開発や技術コンサルティングまでも提供している。また、昨今の中国における人件費高騰や労働人口の減少、消費の多様化傾向などの課題解決を進めながら、世界品質・超柔軟性・超生産性を兼ね備えた生産を実現すべく活動を推進している。
下記6点がオムロン上海のマネジメントの骨格として評価された。

(1)標準化

オムロン上海は、オムロンの生産再編の際、7工場から生産移管を受けている。各工場の生産技術者などから支援を受け立ち上げたものの、各移管元の色が出てしまい内部で統一していかないことには効率的な運用ができない状態であった。ここから、標準の見直しを行い、生産の仕組みから建屋・フロアのレイアウトを含めたところまで標準化を推進している。

(2)標準を行動として徹底させるための教育

教育認定者として現地スタッフが育成の中核を担っている。入社後“少林寺”と呼ばれる生産導入教育から始まり、専門・特殊技能の習得。自動化推進のための工程設計やアプリ制作ができるエジニア教育にも力を入れている。
また新人に対しては、日常の行動についても教育対象とし、バスや電車の乗り方・並び方、食堂でのゴミの扱いなど生活面にも深く踏み込んでいる。

(3)育て上げた人材を維持していくための福利厚生

時間をかけて丁寧な教育を行なったとしても福利厚生が良くなければ従業員が定着しないため、独身寮や食堂の整備、職場環境の平準化などの配慮を欠かさない。

(4)考え方・理念

工場全体のマネジメントに共通して「人に優しい、相手を考える」という考え方・理念と並び、重視されているものが品質である。創業者である立石氏の言葉であり「品質第一」が活動の判断基準の根底にある。その現れとして、ある年に発生した品質問題立て直しから“不良が作れないライン”も実現している。

(5)管理目標展開

オムロン上海ではROICを出発点においている。よって、単純に生産性指標や品質指標だけでなく、資産効率に注目しての在庫やリードタイム削減が重視されている。

(6)ネットワーク活動

ROICを向上させていくため、サプライヤーを含めた「縦横・社内外とのネットワーク構築と活動」が欠かせない。オムロン本体による個別共通テーマ支援はあるが、各工場がマザー・チャイルドという関係ではなく、それぞれの得意技を持った相互補完の関係で技術開発や改善活動をアプリシートと呼ばれる改善技術紹介コンテンツを活用し各工場間に取り込んでいる。

◆事業所概要
主要事業 :
制御システムの研究開発、生産
自社製品およびオムロングループ製品に関する技術コンサルティング、、アフターサービスの提供
設  立 :
2005年7月15日
従業員数 :
2,708名(2018年12月)
所 在 地 :
中国(上海)自由貿易試験区金吉路789
代 表 者 :
辻永 順太 氏

白河オリンパス
(オリンパス 福島)

ファクトリーマネジメント賞

テーマ:部門間連携によるシナジーを最大活用した高付加価値工場の実現

◆受賞理由

白河オリンパス社は1978年に設立され、その活動は複写機の生産から始まった。その後、競争環境の変化から内視鏡の生産を開始し、顧客ニーズの拡大から機能を広げてきた工場である。   
現在では工場内での生産と修理、あるいは調達・製造・修理といった多機能について各部門が協力し合い、これがシナジー効果を生んできた。このような特色にある形でマネジメントを進めている点、さらに並行して充実した人材育成を推進してきたことなどは、GOOD FACTORY賞として高く評価できる。こうした視点から以下に評価できる点について挙げる。

1.トップダウンとボトムアップ・アプローチの組み合わせた(たとえば、挑戦的目標を個人レベルまで落としてマネジメントしている点など)活動を推進しており、目標展開と実施についてのフレームワークと仕組みが良く機能しており、実行サイクルを確実に回すことができている。

2.マネジメント活動推進の工夫として、トップと従業員の頻度の高い・3現主義による有機的コミュニケーションの仕組みを構築したこと。また成功例を体験させるだけでなく、その事例から学習してきた施策を実際に推進するとともに人材育成に活かしていること。

3.製造と調達、製造と修理といった各部門間の有機的連携の仕組みを構築・運用し、部門相互のシナジー効果を高めていること。

4.「白河直流生産活動」を掲げ、製造職場単位毎にあるべき姿を定めつつスピード感ある改善活動を行っており、これによりメンバーも巻き込みながら活動と育成を進めていること。

5.きめ細かで工夫ある訓練を着実に実施し、社員の技能拡大と向上、そして人財育成に努めていること。

◆事業所概要
主要事業 :
医療事業担当工場として医療用内視鏡製品の開発から製造および、東日本地区の内視鏡製品の修理サービスを担当
設  立 :
1978年11月30日
従業員数 :
1,059名(2019年3月1日時点)
所 在 地 :
福島県西白河郡西郷村大字小田倉字狼山3-1
代 表 者 :
村上 不二男 氏

上海花王
(花王 上海)

ファクトリーマネジメント賞

テーマ:花王中国家庭品事業の基幹工場としてのマネージメント進化の取組み

◆受賞理由

上海花王の主要な生産品は高品質なサニタリー製品である。その生産ラインは、花王グループのサニタリー工場のなかでトップクラスの生産性を誇る。

現在、上海花王は人件費高騰や環境規制の強化など他社同様の課題や輸入品の大幅な増加対応、通信販売(EC)の増加、周辺住民に対する住環境への配慮という課題にも直面している中で、掲げる方針は「働く喜びのある現場を作る」であり、ありたい姿は「地域社会と共存する都市型モデル工場」、あるべき姿は「中国における花王の家庭品の主力工場」としている。
評価する部分として、1つ目は、人財育成や環境保全、他工場との連携、地域との交流など、総合的な工場のマネジメントレベル向上に向けたバランスのとれた活動。2つ目は、ISOと個人提案・小集団活動をベースとした、多角的な改善を展開している点。3つ目は、原理原則に忠実な運営の基本の上に成り立っている点が評価に値する。特に、現地管理者層を核とし、事前準備や達成度・有効性確認への強化がなされており、ファクトリーマネジメントとしての素晴らしさがわかる。

(1)ESGを重視し、企業理念を軸にしたマネジメント骨格

花王グループは事業戦略にESGの視点を導入することで、事業の拡大と、消費者や社会へのよりよい製品・サービスの提供をめざしている。そして、従業員それぞれの仕事の意義や課題解決の拠りどころとして、企業理念である「花王ウェイ」を共有し標準化させるという考え方が提示されている。上海花王では、その花王ウェイをもとに「よきモノづくりはよき人づくり」、「高度な技と綺麗な心」というスローガンをもち、どうすればそれが実現できるかと考え、人間の素の要素に着目し行動している。

(2)現地に即したPDCA

生産関連指標の数値を上げるための基本を現地でうまく回すために、事前の準備、事後の有効性評価が特に重要であると考え、現地幹部メンバーを中心に、事前準備をP+PDCA、事後の有効性検証をPDCA+Aと呼んで、仕組みとして動かしている。

(3)生産構造に応じた組織構造改革

改善成果がうまくでない対応策として、弊害になっていると考えられた場合、組織構造そのものまでメスを入れる取り組みを行っている。施策として組織統合が行われる場合、ポストの減少も予想されるが、共通価値観、相互コミュニケーションによる相互認識を強く持っていることで実現され、構造改革を推進している。

(4)安全・環境活動

安全に関しては、生産現場の危険を疑似体感したり、教育を行う道場が設けられている。経験や知見に基づくもの以外に作業リスク評価と対策も進めている。
環境活動としては、隣接する地域住民との意見交換会や住民のほか、政府関係者も招待して「納涼祭(夏祭り)」を開催するなど、多様なコミュニティに対する活動にも積極的に取り組んでいる。

◆事業所概要
主要事業 :
サニタリー製品、衣料用洗剤、スキンケア製品、化粧品など家庭用品の製造
設  立 :
1993年8月
従業員数 :
312名
所 在 地 :
中国上海市閔行区花王路333号
代 表 者 :
顾 韧 氏

柯尼卡美能达商用科技(东莞)(略称 BMDG)
(コニカミノルタ 東莞)

ファクトリーマネジメント賞

テーマ:ものづくりは人づくり 意識行動改革を軸とした常にSHINKAし続ける工場

◆受賞理由

柯尼卡美能达商用科技(东莞)有限公司(略称:BMDG )は、1994年に設立され、当初はモノクロプリンター・複写機の製造をしていたが、昨今ではより付加価値の高い、デジタル複合機・カートリッジ・商用印刷機(周辺機器含む)・医療機器を製造する会社となっている。 
1994年の設立以来、「一緒に働く仲間の信頼関係を深くし、会社を我が家のように思う」工場風土のもと、同社の意識・行動改革の指針である、「6Value」を推進力として、継続的に進化を遂げていることは評価できる。特に、「人の力」×「連携」を「現場力」と定義し、これを核に従業員の意識・行動改革を推進し、5S、見える化、プロセス改革を断行し、その中で人財の力を相乗効果的に向上させてきた。これにより様々な成果を上げてきたことは大きな評価に値する。これについて具体的には以下の6つのポイントがそのキーになっていると考える。

1.現場力を重視することを経営の根幹におき、活動が推進されており、活動の継承面において経営トップが交代しても、そのコンセプト、中心にある考え方が継承されていること。これにより、現地メンバーの一貫した価値観や方針のもと継続的な活動が実行できている。

2.デジタル・マニュファクチュアリング(オペレーションの自動化、ICTツールによるワークフローの変革、熟練技能の解明と標準化などを含む)による生産革新を推進している。それとともに、TPS活動でのムダ取り活動についても、問題の発見から解決まで、現地従業員を主に行われていること。

3.上記の生産性向上成果を、経営コックピットと呼ばれる工場全体の経営データの見える化システムにより情報共有している。このシステムをさらに機種別原価管理と連結させ、さらなる「見える化」を推進することで儲かる体制に繋げている。

4.きめ細かな意識・行動改革(6Value 、7つの習慣など)の推進をベースに、「家のような風土づくり」を目指し、従業員の相互支援である募金会・文体活動・挨拶活動など、社員を大切にする温かい活動を現地従業員が主体に行っている。

5.品質向上活動では、過去のデータをベースにした組立不具合予測の活動を行っており、源流で早期に品質を作りこむ活動を推進している。また、自工程完結活動や小集団活動により、現場での品質向上にも主体的に取り組んでいる。

6.人財育成においては、スキルマップによる技能の管理、技能資格制度、技能スペシャリスト教育、教材のビジュアル化・ビデオ化、企業大学などを含めた、きめ細かな人材育成システムを構築している。

◆事業所概要
主要事業 :
デジタル複合機、印刷用機器、医療機器、そのキー部品および金型の研究開発・設計・生産・自社製品の販売及び技術コンサルティング、据付及びアフターサービスの提供
設  立 :
1994年7月 委託加工(東莞石龍事務機工廠)
2007年11月 独資化(柯尼卡美能达商用科技(东莞)有限公司)
従業員数 :
2,100名(2019年4月)
所 在 地 :
中国広東省東莞市石龍鎮新城市中心美能達路1号
代 表 者 :
渥美 浩三 氏

ダイキン工業
(※4製作所の共同応募)

ものづくり人材育成貢献賞

テーマ:世界No.1を目指すモノづくり力を支える人材育成 ~技能伝承制度の確立~

◆受賞理由

ダイキン工業の人材育成で優れていると感じたのは、1998年から団塊世代の退職に備えた人材育成を始め、現在では海外展開も含めた「技能者へ光をあてる」ことにこだわった技能伝承の体制を整えたことと考える。これらは工場主体でかつ工場間の横通しまでもうまく推進され、その要になる技能伝承委員会の機能も優れていると感じた。
また、単なる技能伝承にとどまらず、工場の進化に伴い変化する技能を視野に入れた工場経営を目指し、現在も他社と協力しながら工場のスマート化、技能伝承に取り組んでいる点も、高く評価された。

特に、技能依存の高いろう付けなど10職種を軸として、技能を戦略に位置付け、技能伝承を仕組み化することで、活動計画へ具体的に展開され、トレーナー評価や、技能大会の開催などでモチベーションを上げるなど、素晴らしい体系的活動が展開されていると感じました。そのうえで、これらの活動が不良の低減につながり、世界同一品質実現として経営に大きく貢献できている点も、審査員の間で高く評価された。

具体的には、以下の点を高く評価した。

  1. 国内4製作所のメンバーが主体となって、技能伝承の仕組みを構築し、運営を実施
  2. 戦略技能を明確に設定し、技能レベルをきちんと定義して人材育成をはかっている
  3. グローバルで活躍できる人材育成と活躍の場作りにより、誇りややりがいを醸成
  4. IOTなど先端技術を活用した、熟練者ノウハウの伝承
◆事業所概要 ※4製作所の共同応募
代 表 者 :
澤 静治 氏

■ 堺製作所

主要事業 :
空調・冷凍機器、圧縮機
設  立 :
1937年2月
従業員数 :
1,715名
所 在 地 :
大阪府堺市北区金岡町1304

■ 滋賀製作所

主要事業 :
空調機器、圧縮機
設  立 :
1970年11月
従業員数 :
1,337名
所 在 地 :
滋賀県草津市岡本町1000-2

■ 淀川製作所

主要事業 :
フッ素化学製品、油圧機器、医療用機器 他
設  立 :
1941年2月
従業員数 :
2,405名
所 在 地 :
大阪府摂津市西一津屋1-1

■ 鹿島製作所

主要事業 :
フッ素化学製品
設  立 :
1983年4月
従業員数 :
151名
所 在 地 :
茨城県神栖市砂山2-1

PT. DENSO INDONESIA
(デンソー インドネシア)

ファクトリーマネジメント賞

テーマ:競争力のある複合工場(ミニデンソー)のグローバルモデルの実現

◆受賞理由

ファジャール工場は2014年に立ち上げられ、生産品目はパワートレイン事業・電子/ICT事業など複数事業の製品にわたり、複合工場のモデルとして立上げ、運営をされてこられました。

活動としては、工場設立期、また工場成長期に抱えていた諸問題に対して、合計5つの活動を展開しており、これらの活動は、ものづくりプロセスの改善だけでなく、人材育成や職場の風土づくりなど、総合的な工場のマネジメントレベル向上に向けた、バランスのとれた活動となっていると、高い評価がありました。あわせて、現地化のレベルも高いものと評価されました(日本人10名/1600名)。

その上で、これらの活動を通して、直接生産性1.4倍、158人省人、納入不良半減、リードタイム20%以上減、面積生産性1.2倍など、成果を上げてきており、これらの活動および成果は大変素晴らしものと、審査委員から高い評価がありました。
また、現地審査および審査資料も非常にわかりやすく、良い工場だということが十分に伝わってきました。

具体的には、以下の項目が特に優れていると評価しました。

  • 将来の目指す姿を現地メンバーで策定するなど、チャレンジの場を積極的に提示し、現地メンバーによる活力あるマネジメントおよび改善活動を推進
  • 与えられた場で力を発揮するために、専門機関(人材育成センター)における、高度な生産人材の育成
  • 自立化された現地メンバーによるIoT、自動化の推進
  • 複数事業製品を生産する工場としてシナジー効果の発揮
◆事業所概要
主要事業 :
①エンジン・排気関係などのパワートレイン製品、スタータやオルタネータなどのエレクトリフィケーション製品の製造
②電子制御ユニットやメータなどのモビリティ・エレクトロニクス製品、車輪速センサなどのセンサ・セミコンダクタ製品の製造
③カーエアコンシステム、ラジエータ、バスエアコンなどのサーマルシステム製品の設計および製造
設  立 :
1975年5月12日
従業員数 :
4,600名(2019年3月時点)
所 在 地 :
Fajar Plant(ファジャール工場)
JI. Selayar Ⅲ, Blok K-2 Kawasan Industri MM2100 – Cikarang Barat
Bekasi 17845 – Jawa Barat, INDONESIA
代 表 者 :
亀苔 武之 氏

東麗酒伊織染(南通)
(東レ 中国南通市)

ファクトリーマネジメント賞

テーマ:テキスタイル事業における工場改革・競争力強化

◆受賞理由

東麗酒伊織染(南通)有限公司(TSD)は、1994年に設立(操業開始は1996年)され、合成繊維織編物の製布・染色加工・縫製及び販売の事業を行っており、中国内外のアパレルメーカーに商品を供給している。昨今では、自動車用エアバッグやアパレル直販企業向けなど、製品品目や販売チャネルも拡大している。
活動の特徴としては、ナショナルスタッフ・従業員の総合力を生かし、汎用・低価格品主体の製造・販売事業を高付加価値・高価格品主体の事業へと変貌させ、大きな成長を成し遂げた。工場改革・競争力強化が全社を挙げて取り組まれ、安全管理向上・人材育成・モチベーション向上・設備安定化活動などの諸活動を推進するに当たり、仕組みとマネジメントスタイルが構築・確立され、継続的に、大きな効果を上げている。具体的には以下の5つが評価された。

1.ナショナルスタッフの意識改革を目指し、「自分たちの会社」と思わせる企業風土の醸成に取り組み、そこでは管理職層の意識革命を目的としたコミュニケーション良化のために、多岐にわたって工夫ある施策が打たれていること。

2.弛まぬ人材育成やモチベーション向上策を丹念に行っていることである。例えば、毎日の業績に対して点数付けをおこなう評価制度などモチベーションの向上策や、収益面で苦しい時期でも採用と人材育成を続け、労使間の信頼を築きあげてきたところ、結果、工場幹部のほとんどがナショナルスタッフで構成され日々のマネジメントがなされていることは大きな成果と言える。

3.安心して生産できる工場づくりを愚直に取り組んでいることである。具体的には過去の工場で得た災害教訓から、安全対策活動のみならず従業員の家族まで視野に入れた安全意識向上施策を工夫するなど、広範で工夫ある施策を推進しており、成果も出ている。

4.生産におけるデジタル化やIoT化は時流であるが、その運用や活用にあたっては、現業社員も含めて、データ活用・解析を行えるような教育を推進している。その結果、多くの製造職が品質面や生産性面でデータを活用して科学的な改善ができるようになり、一段高い改善を推進していること。

5.工場マネジメントにおいては、ICT活用により各ラインの状況や異常の見える化が進められており、タイムリーにPDCAを回している。また、その業績を向上するためにSCRUM活動が行われており、毎日職場単位で課題や目標、スケジュール、進捗状況、テーマ推進上の課題などを一人ひとりが付箋紙などで見える化・共有化、そして討議に励み、その結果一人ひとりが強くなり職場も改善推進されている。言わば、ICTを活用しつつ人の知恵を活用するマネジメントの高度化が図られている。
 
これらに取り組む過程において工場マネジメント改革としての運営方法、意識改革、また評価制度の工夫、さらに経営軸を利益や顧客重視へ転換させるなど時流にあわせた変革を行ってきた。この結果、利益を生み出す体質も持った工場へと育て上げ、持続成長の軌道に乗せてきたと考えられる。加えて製販連携とマスカスタマイゼーションの工夫により、商品&製造方法開発を行ない、工場プラスアルファの価値提供を行っていることは評価できる。

◆事業所概要
主要事業 :
合成繊維織編物の製布・染色加工・縫製及び販売
設  立 :
1994年8月
従業員数 :
1,723名
所 在 地 :
中国江蘇省南通市経済技術開発区新開南路58号
代 表 者 :
秦 兆瓊 氏
一般社団法人日本能率協会「2019年度(第9回)GOOD FACTORY賞」 審査委員会

(敬称略)

委員長
東京工業大学 工学院 経営工学系
教授 伊藤 謙治
委 員
電気通信大学 情報理工学研究科
教授 新 誠一

日本大学 日本大学工学部シニアリサーチフェロー
日本大学ロボティクスソサエティ・フェロー
柿崎 隆夫

慶応義塾大学大学院 経営管理研究科
教授 坂爪 裕

電気通信大学 i-パワードエネルギー・システム研究センター
教授 横川 慎二

株式会社日本能率協会コンサルティング
シニアコンサルタント 石山 真実

株式会社日本能率協会コンサルティング
シニアコンサルタント 石田 秀夫

Transformation Consulting合同会社
CEO 松田 将寿

<ご参考>GOOD FACTORY賞 過去の受賞企業一覧

2018年(第8回) 3ヵ国・5社

2018年(第8回)の受賞企業紹介はこちら »

受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
日本電気
NECプラットフォームズ 掛川事業所
(インターネット接続端末(ホームゲートウェイHGW)の企画・開発・生産)
ものづくりプロセス革新賞日本
(静岡県)
オークマ
本社・DS2部品工場
(工作機械製造に係る機械部品の加工)
ものづくりプロセス革新賞日本
(愛知県)
コマツ
大阪工場・生産技術開発センタ
(大型ブルドーザ、中・大型油圧ショベル、資源リサイクル機械の生産)
ものづくりプロセス革新賞日本
(大阪府)
東レ
Penfibre Sdn. Berhad. (PFR) Film Factory
(ポリエステルフィルムの製造・販売)
ファクトリーマネジメント賞マレーシア
(ペナン)
ブラザー工業
兄弟機械(西安)
(工業用ミシン、産業機器(工作機械)の製造)
ものづくり人材育成貢献賞中国
(西安)

2017年(第7回) 3ヵ国・6社

2017年(第7回)の受賞企業紹介はこちら »

受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
日本電気
NECプラットフォームズ 甲府事業所
(スーパーコンピュータ、PCサーバ、ATM 等)
ものづくりプロセス革新賞日本
(山梨県)
花王
和歌山工場
(衣料用洗剤など家庭用製品、各種工業用製品)
ものづくり人材育成貢献賞日本
(和歌山県)
ダイキン工業
大金機電設備(蘇州)
(エアコン用圧縮機および関連製品)
ファクトリーマネジメント賞中国
(蘇州)
トヨタ紡織
トヨタ紡織ハノイ
(自動車用シート等内装部品)
ものづくりプロセス革新賞ベトナム
(ハノイ)
パナソニック
エコソリューションズ社
ライティング事業部 新潟工場

(LED照明器具等)
ファクトリーマネジメント賞日本
(新潟県)
富士ゼロックス
富士ゼロックスマニュファクチュアリング
鈴鹿事業所

(複写機、プリンターの機能部品)
ファクトリーマネジメント賞日本
(三重県)

2016年(第6回) 4ヵ国・6社

2016年(第6回)の受賞企業紹介はこちら »

受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
日本電気
NECネットワークプロダクツ
ファクトリーマネジメント賞日本
(福島県)
オリンパス
長野オリンパス
ファクトリーマネジメント賞日本
(長野県)
トヨタ自動車
PT. Toyota Motor Mfg. Indonesia (TMMIN)
ファクトリーマネジメント賞インドネシア
(Karawang)
東レ
Thai Toray Synthetics Ayutthaya Factory
ものづくりプロセス革新賞タイ
(アユタヤ)
パナソニック
パナソニックエコシステムズ 春日井工場
ファクトリーマネジメント賞日本
(愛知県)
パナソニック アプライアンス
無錫松下冷機(無錫)
ものづくり人材育成貢献賞中国
(江蘇省)

2015年(第5回) 4ヵ国・8社

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受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
コマツ
コマツ 粟津工場
ものづくりCSR貢献賞日本
(石川県)
ダイキン
DAIKIN INDUSTRIES (THAILAND)
ファクトリーマネジメント賞タイ
(チョンブリー)
デンソー
DENSO (THAILAND)
ファクトリーマネジメント賞タイ
(チョンブリー)
東芝
東芝キヤリア 富士工場
ものづくり人材育成貢献賞日本
(静岡県)
東レ
PEN FABRIC BERHAD
ファクトリーマネジメント賞マレーシア
(ペナン)
トヨタ紡織
広州桜泰汽車飾件
ものづくりプロセス革新賞中国
(広州)
日産自動車
SNN TOOLS & DIES
ファクトリーマネジメント賞タイ
(サムトプラカーン)
日立オートモティブシステムズ
日立汽車系統(蘇州)
ものづくり人材育成貢献賞中国
(蘇州)

2014年(第4回) 3ヵ国・5社

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受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
ミスミグループ本社
駿河生産プラットフォーム
ものづくりプロセス革新賞日本
(静岡県)
日立金属
Hitachi Metals (Thailand)
ファクトリーマネジメント賞タイ
(アユタヤ)
東レ
東麗塑料(深圳)
ファクトリーマネジメント賞中国
(深圳)
日本電気/
NECプラットフォームズ
NEC Platforms Thai
ものづくり人材育成貢献賞タイ
(パツムタニ)
ダイキン工業
大金空調(上海)
ファクトリーマネジメント賞中国
(上海)

2013年(第3回) 4ヵ国・5社

受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
味の素
タイ味の素社 カンペンペット事業所
ものづくりCSR貢献賞タイ
(カンペンペット)
小島プレス工業
本社・下市場工場
ファクトリーマネジメント賞日本
(愛知)
東芝
セミコンダクター&ストレージ社 四日市工場
ファクトリーマネジメント賞日本
(三重)
東芝
東芝情報機器杭州社(TIH)
ものづくりプロセス革新賞中国
(杭州)
トヨタ自動車
Toyota Kirloskar Motor (TKM)
ものづくり人材育成貢献賞インド
(バンガロール)
三菱電機 
Siam Compressor Industry (SCI)
ファクトリーマネジメント賞タイ
(チョンブリ)

2012年(第2回) 4ヵ国・5社

受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
東レ
PT. Easterntex
ファクトリーマネジメント賞インドネシア
(スラバヤ)
東レ
東麗合成繊維(南通)
ものづくり人材育成貢献賞中国
(南通)
トヨタ紡織
Toyota Boshoku Gateway(Thailand)
ものづくりプロセス革新賞タイ
(ゲートウェイ)
日産自動車
東風日産乗用車公司 広州風神汽車
ファクトリーマネジメント賞中国
(広州)
パナソニック
広州松下空調器
ものづくりプロセス革新賞中国
(広州)
富士通 (※2社の共同応募)
島根富士通
富士通アイソテック
ものづくりCSR貢献賞日本(島根)
日本(福島)

2011年(第1回) 5ヵ国・5社

受賞企業名(社名五十音順)受賞部門所在地
オリンパス
会津オリンパス
ものづくりプロセス革新賞日本
(福島県)
東芝
東芝情報機器フィリピン社(Toshiba Information Equipment (Phils.) (TIP))
ファクトリーマネジメント賞フィリピン
トヨタ自動車
(※2社の共同応募)
Toyota Motor Asia Pacific Eng.&Mfg.(TMAP-EM)
Toyota Motor Thailand (TMT)
ものづくり人材育成貢献賞タイ
富士ゼロックス
Fuji Xerox of Shenzhen
ものづくりCSR貢献賞中国
(深圳)
ヤマハ
PT. Yamaha Music Mfg. Asia (YMMA)
ものづくり人材育成貢献賞インドネシア