ブラザー工業 兄弟機械(西安)有限公司

ものづくり人材育成貢献賞

主要事業 :
工業用ミシン、産業機器(工作機械)の製造
設  立 :
2001年8月3日
従業員数 :
972名(男性:759名、女性:213名)
所 在 地 :
中国陝西省西安高新開発区上林苑三路40号
代 表 者 :
董事長・総経理 松尾 博巳 氏

総合所見

兄弟機械(西安)有限公司(略称BMX)は、1993年に中国国営企業とブラザー工業との合弁会社「西安兄弟標準工業有限公司」として設立された。その後いくつかの変遷を経て、2001年に現在の会社名となった。従業員数は972名、日本人出向者は部長職以上を占めているが、その他管理職および他従業員は全て中国現地スタッフ(以下NS)であり、副部長10名、課長21名、係長40名、班長主任70名となっている。

ブラザーグループでは、グローバル憲章という基本方針があり、その枠組みの中で運営されているが、各拠点での独自解釈が推奨されており、「お客様に安心と感動」というキーワードをミッションに、中期ビジョンでは「誇り」が持て、「成長を実感」でき、「チャレンジ風土と社会貢献を実感」できる会社と定め、行動基準に「自己成長」「自ら行動」「できる手段を探し出す姿勢」などを定めて運営されている。

このように西安工場では、人材(西安工場では人財と言っている)に焦点を当て、その誇りと成長を大切にしている。そして、その人材のほとんどを占めるNSが中心となりローコスト工場からグローバル製造拠点となることを目指して企画・運営を進めてきている。その活動であるが、工場の基本性能向上を推進する企画運営、工場従業員のコミュニケーションや相互研鑽を進める企画運営という2種類がある。

前者は人事課が中心となり人材育成プログラムなどを展開している。その内容であるが、NSが講師となって「匠道場」と呼ばれる独自の育成の仕組みや研修の企画・運営を含むスキル向上やノウハウの共有・伝承を推進するというものである。
  
後者は総合企画部、グローバル憲章全社事務局が中心となって、仕事を通じて成長を果たすために上記NSスタッフの講師化、従業員表彰制度、イントラを使った「イイねシステム」という相互称賛の仕組みなどを導入推進している。

これら活動の成果としてQCDのレベルアップのみならず、離職係数の改善、従業員意識調査結果の向上、多能工化率向上、内部資格保有者増なども進め、更に海外工場立上の中国スタッフによる現地支援実施、現地顧客向け活動や社会貢献活動など従来の現地工場の枠を超えた誇りが持てる成果を出してきた。

以上のような成果は現地メンバーの自立と誇りを醸成するような意識改革と人材育成、人材マネジメントなど人という基盤づくりを堅実に進めた結果であると推察される。現地スタッフ・従業員の意識・モチベーション向上と能力拡張を工場で推進されてきた活動は興味深く、大変高く評価された。

特に下記の5点が評価された。

  • ナショナルスタッフ(NS)を積極的に育成し自立化を推進
  • 人材育成活動と改善活動の一体運営
  • コミュニケーション力による活動活性化
  • 西安独自の「グローバル憲章」理解とその浸透法
  • 工場文化