東レ Penfibre Sdn. Berhad. (PFR) Film Factory

ファクトリーマネジメント賞

主要事業 :
ポリエステル短繊維、ポリエステルフィルムの製造・販売
設  立 :
製糸工場1973年2月26日、フィルム工場1997年10月1日
従業員数 :
繊維181名、フィルム422名(2018年3月末現在)
所 在 地 :
Lot 128-130, Prai Free Industrial Zone 1, 13600 Prai, Penang, Malaysia
代 表 者 :
社長 黒目 泰一 氏

総合所見

当社は、PETフィルムのグローバル生産拠点および、汎用量産品工場としての役割を担ってきたが、新興国参入による需給バランスの悪化などから、フィルムの品位向上や高付加価値製品への転換が不可欠になってきた。これにともない、生産基盤の強化とともに、管理者からオペレーターまで全従業員の能力向上をはかり、かつナショナルスタッフが主体的に実務運営や改善に取り組むような意識改革、現場マネジメントや組織面の改善を推進してきた。

これらの内容は、どれも大変優れたものであり、かつ成果(モチベーション向上、品質向上、技術向上など)も出されている点が、審査委員の間でも高く評価された。

具体的には、以下の3点を高く評価した。

1. 汎用品から高付加価値品への転換(量重視から品質、利益重視へ)や川下産業の取り込みなどの事業変革を、全社一体、本社との連携での取組みで実現

  • ものづくりの基本は安全からという指針により、安全診断の仕組みを持ち、マザー工場との比較を見える化することで、ナショナルスタッフの自立的改善をうながしている
  • マザー工場レベルの高品質化および安全向上を目的に、ナショナルスタッフ(管理職、技術職、現場リーダー、他)をマザー工場に派遣し、達成すべき姿を十分体得、納得したうえで、現地工場の改善を実施 など

2. 東レグループとしての標準的な活動への新たな工夫織り込みや、現地工場の特性をとらえたオリジナル活動推進にまで、工場改善を昇華

①現地工場独自の取組み

  • 生産基盤強化のベースは「安全(特に基本ルールの徹底遵守)」と位置づけ、アンケートとテストを組み合わせて、全体レベルと個人レベルの安全状況を定量化しての改善推進
  • 安全基盤強化の具体改善、意識改革のために、ナショナルスタッフによるチーム活動を推進

②東レグループの標準活動に関する、独自の工夫

  • 東レグループの見える化システムをただトレースするのではなく、見える化の意味をまずはアナログで実施する中で徹底理解し、そこからITによる見える化を進めている
  • 東レグループの見える化システムを活用して、予知保全のためのモニタリングデータ研究および、予知保全を実施し始めている など

3. 任せられる人材育成の工夫で、ナショナルスタッフの自立化

  • 将来の幹部候補生(社長、役員クラス含む)を明確にした中で、人材育成をはかる仕組みを持っており、計画的に幹部人材の育成を行っている(現在マレーシアの代表はマレーシア人の方で、ナショナルスタッフのゴールに代表クラスまで昇格できることも示されている) など