上海花王

ファクトリーマネジメント賞

主要事業 :
サニタリー製品、衣料用洗剤、スキンケア製品、化粧品など家庭用品の製造
設  立 :
1993年8月
従業員数 :
312名
所 在 地 :
中国上海市閔行区花王路333号
代 表 者 :
顾 韧 氏

総合所見

上海花王の主要な生産品は高品質なサニタリー製品である。その生産ラインは、花王グループのサニタリー工場のなかでトップクラスの生産性を誇る。

現在、上海花王は人件費高騰や環境規制の強化など他社同様の課題や輸入品の大幅な増加対応、通信販売(EC)の増加、周辺住民に対する住環境への配慮という課題にも直面している中で、掲げる方針は「働く喜びのある現場を作る」であり、ありたい姿は「地域社会と共存する都市型モデル工場」、あるべき姿は「中国における花王の家庭品の主力工場」としている。
評価する部分として、1つ目は、人財育成や環境保全、他工場との連携、地域との交流など、総合的な工場のマネジメントレベル向上に向けたバランスのとれた活動。2つ目は、ISOと個人提案・小集団活動をベースとした、多角的な改善を展開している点。3つ目は、原理原則に忠実な運営の基本の上に成り立っている点が評価に値する。特に、現地管理者層を核とし、事前準備や達成度・有効性確認への強化がなされており、ファクトリーマネジメントとしての素晴らしさがわかる。

(1)ESGを重視し、企業理念を軸にしたマネジメント骨格

花王グループは事業戦略にESGの視点を導入することで、事業の拡大と、消費者や社会へのよりよい製品・サービスの提供をめざしている。そして、従業員それぞれの仕事の意義や課題解決の拠りどころとして、企業理念である「花王ウェイ」を共有し標準化させるという考え方が提示されている。上海花王では、その花王ウェイをもとに「よきモノづくりはよき人づくり」、「高度な技と綺麗な心」というスローガンをもち、どうすればそれが実現できるかと考え、人間の素の要素に着目し行動している。

(2)現地に即したPDCA

生産関連指標の数値を上げるための基本を現地でうまく回すために、事前の準備、事後の有効性評価が特に重要であると考え、現地幹部メンバーを中心に、事前準備をP+PDCA、事後の有効性検証をPDCA+Aと呼んで、仕組みとして動かしている。

(3)生産構造に応じた組織構造改革

改善成果がうまくでない対応策として、弊害になっていると考えられた場合、組織構造そのものまでメスを入れる取り組みを行っている。施策として組織統合が行われる場合、ポストの減少も予想されるが、共通価値観、相互コミュニケーションによる相互認識を強く持っていることで実現され、構造改革を推進している。

(4)安全・環境活動

安全に関しては、生産現場の危険を疑似体感したり、教育を行う道場が設けられている。経験や知見に基づくもの以外に作業リスク評価と対策も進めている。
環境活動としては、隣接する地域住民との意見交換会や住民のほか、政府関係者も招待して「納涼祭(夏祭り)」を開催するなど、多様なコミュニティに対する活動にも積極的に取り組んでいる。