欧姆龙(上海)

ファクトリーマネジメント賞

主要事業 :
制御システムの研究開発、生産
自社製品およびオムロングループ製品に関する技術コンサルティング、、アフターサービスの提供
設  立 :
2005年7月15日
従業員数 :
2,708名(2018年12月)
所 在 地 :
中国(上海)自由貿易試験区金吉路789
代 表 者 :
辻永 順太 氏

総合所見

オムロン上海の設立は、2005年となっているが、1994年生産開始のコントローラー生産会社、1995年生産開始のセンサー生産会社と電源生産会社とを2004年に統合設立したものである。設計(制御機器)から生産、アフターサービスまでの一連の機能を保有しているところに特徴がある。
現在の取り組みとして、ハイテク企業として中国国内で認定されている他、制御システムの研究開発や技術コンサルティングまでも提供している。また、昨今の中国における人件費高騰や労働人口の減少、消費の多様化傾向などの課題解決を進めながら、世界品質・超柔軟性・超生産性を兼ね備えた生産を実現すべく活動を推進している。
下記6点がオムロン上海のマネジメントの骨格として評価された。

(1)標準化

オムロン上海は、オムロンの生産再編の際、7工場から生産移管を受けている。各工場の生産技術者などから支援を受け立ち上げたものの、各移管元の色が出てしまい内部で統一していかないことには効率的な運用ができない状態であった。ここから、標準の見直しを行い、生産の仕組みから建屋・フロアのレイアウトを含めたところまで標準化を推進している。

(2)標準を行動として徹底させるための教育

教育認定者として現地スタッフが育成の中核を担っている。入社後“少林寺”と呼ばれる生産導入教育から始まり、専門・特殊技能の習得。自動化推進のための工程設計やアプリ制作ができるエジニア教育にも力を入れている。
また新人に対しては、日常の行動についても教育対象とし、バスや電車の乗り方・並び方、食堂でのゴミの扱いなど生活面にも深く踏み込んでいる。

(3)育て上げた人材を維持していくための福利厚生

時間をかけて丁寧な教育を行なったとしても福利厚生が良くなければ従業員が定着しないため、独身寮や食堂の整備、職場環境の平準化などの配慮を欠かさない。

(4)考え方・理念

工場全体のマネジメントに共通して「人に優しい、相手を考える」という考え方・理念と並び、重視されているものが品質である。創業者である立石氏の言葉であり「品質第一」が活動の判断基準の根底にある。その現れとして、ある年に発生した品質問題立て直しから“不良が作れないライン”も実現している。

(5)管理目標展開

オムロン上海ではROICを出発点においている。よって、単純に生産性指標や品質指標だけでなく、資産効率に注目しての在庫やリードタイム削減が重視されている。

(6)ネットワーク活動

ROICを向上させていくため、サプライヤーを含めた「縦横・社内外とのネットワーク構築と活動」が欠かせない。オムロン本体による個別共通テーマ支援はあるが、各工場がマザー・チャイルドという関係ではなく、それぞれの得意技を持った相互補完の関係で技術開発や改善活動をアプリシートと呼ばれる改善技術紹介コンテンツを活用し各工場間に取り込んでいる。